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SPECIAL PROJECT STORY 02

海外での過去最大規模のビッグプロジェクト。
数多の困難に、MHIECのプライドをかけて取り組む。 シンガポール大型ごみ処理プラント
建設プロジェクト

PROLOGUE

シンガポールのトゥアス地区における世界最大級の大型ごみ処理施設建設。メインコントラクター(元請企業)の下で主要設備の供給、ならびテクニカルアドバイザーとして参画することとなったMHIECにとって、過去最大規模の海外プロジェクト。しかし、想定外の難問が次々に降りかかる。工事を止めざるを得ないほどのスコールの襲来。世界中の経済活動に大打撃を与えた新型コロナウイルスの流行。そして、メインコントラクターのプロジェクト撤退による体制の変更。困難な状況下でメンバーを支えたのは、会社を、日本を代表してこの場にいるのだという揺るがないプライドだった。

MEMBER

品川 順

エンジニアリング統括部 建設部
シンガポール現地所長
1992年入社
機械科卒

藤本 直宏

エンジニアリング統括部 設計部 空間設計グループ 配管チーム
シンガポール現地機械工事担当
2013年入社
機能機械専攻

嶋宮 清司

エンジニアリング統括部 建設部 土木建築グループ
シンガポール現地土建工事担当
2013年入社
環境都市工学科卒

まず、プロジェクト概要について教えてください。

品川
本プロジェクトは、シンガポールのトゥアス地区にごみ焼却処理施設を建設するものです。廃棄物処理量は1日約4,000t、発電量も12万kW級、総工費は7億5000万シンガポールドルにもおよぶ大型プロジェクト。世界的に見ても有数の規模を誇る国家プロジェクトであり、当社としても設立以来最大規模の海外案件となっています。
藤本
規模の大きさだけではありません。プラント建設はもちろんのこと、完成後も25年間にわたって運転や保守をはじめとする運営事業全体(O&M)を請け負う長期契約です。また、シンガポールは環境先進国家で、求められる性能も高い水準にあります。高い燃焼効率や発電効率、排ガスのクリーン処理や余熱利用など、あらゆる面から環境対策を徹底したプラントの完成が求められました。
嶋宮
さらに、本プロジェクトは納期遅延ペナルティが設定されており、引き渡し予定日から1日でも遅れると契約上で予定されている損害賠償金が発生する契約内容でした。そのため、工程管理もかなりシビアでした。突然のスコールや、新型コロナの流行といった想定外の状況にも対応しながらの工事進行は困難を極めました。
品川
しかし、どれも言い訳にはなりません。当社からのシンガポールへの納入は本プロジェクトで4回目。これまでに当社が築き上げてきた信頼を失わないためにも、そして日本の技術力を世界に示すためにも、日本を代表しているとのプライドをもって全力で取り組みました。

具体的には、プロジェクトの中でどのような役割を担っているのでしょうか。

藤本
今回は少し特殊なケースで、プロジェクト開始当初は主要設備供給とテクニカルアドバイザーという立ち位置でした。ところが、プロジェクトが進行する中でメインコントラクターが経営不振に陥ってしまい、当社が建設まで含めたプロジェクト全体を担当することになりました。
品川
業務範囲が増えただけでも大変なのですが、途中からの引き継ぎという点が難易度をさらに高めました。前任企業も契約通りに工事を進めていたのですが、開示されていない情報や、当社として満足いく品質が確保できていない箇所もあったため、場合によっては図面を引き直すところから始めることになったのです。
嶋宮
だからと言って工事の遅延は許されません。文化も国籍も多様な方々が集まる現場をコントロールするために、一つひとつのコミュニケーションもメールや電話ではなく、できるだけ対面で実施。見振り手振りや写真を用いたり、時に絵を描いて説明したり些細なコミュニケーションミスも起こらないよう細心の注意を払いました。それでもミスをゼロにはできないため、可能な限り早く問題を発見しリカバリーできるよう、一日中現場の至るところを歩いて周りながら指示通りに進行しているか自分の目で細部まで確認し続けました。

さまざまな苦労があったかと思いますが、特に大変だったポイントはどこでしょうか。

嶋宮
私は実は海外へ行くこと自体が初めてでしたので、これまでの常識がほとんど通用しない状況に戸惑いました。言語が通じない中でのコミュニケーションや特殊な気候、関連法規や工法、建材もまったく異なる環境に適応すべく、数十種類にも及ぶ建材もすべて実物を見ながら特徴や工法を確認するなど、丁寧にキャッチアップしていきました。
藤本
私も異国の地である点に苦労しました。特に、工程管理の観点では大きな壁を感じました。日本とシンガポールでは文化や国民性も大きく異なります。シンガポールは契約社会なので、たとえ予定していた作業が終わっていなくても、終業時間になれば帰るのがあたりまえ。日本とは違い、細かな進捗報告を行う習慣がないため、逐一確認が必要な状況でした。神経を集中させながら、些細な確認漏れもないよう進捗を確認していきました。
品川
私は当社が全体を引き継ぐ前から現場に入っていたので、二人とはまた違う大変さがありました。当時は現地のメインコントラクターや彼らが手配した作業員の方々がほとんど。そこへテクニカルアドバイザーとして単身乗り込んだので、信頼を得るのも一苦労。一例として、当社から持っていったパソコンではなく、あえてすべて英語仕様のメインコントラクターと同じパソコンを使うなど、細かい部分でも「私はあなたたちと同じチームの一員なんだ」というメッセージを彼らに対して発信し続けました。

そのような中で、プロジェクトのやりがいや醍醐味はどんなものだったのでしょうか。

嶋宮
やはりこれだけ規模が大きいので、目に見えて組み上がっていく様子を目にすると、達成感があります。さらに今回はメインコントラクターから引き継いだ案件ということもあり、最初に現場を調査したときに撮影した写真と見比べると、目に見えて改善した箇所がわかるんです。MHIECクオリティにこだわって、苦労をいとわず手を入れて本当に良かったと感慨深い気持ちになりました。
藤本
プラントの完成、引き渡しまで数年かかる長期プロジェクトなので、大きなイベントごとが頻繁に起こるわけではありません。それでも、単体機器試運転やごみ焼却などの節目を一つずつクリアしていくと、着実に引き渡しに近づいているという達成感がありました。
品川
その節目の一つになりますが、性能試験をクリアしたときはホッとしました。今回の性能試験のハードルはかなり高く、4炉同時に24時間30日間連続で稼働させて、基準となる性能を発揮させるというもの。直前まで数日間の連続稼働がやっとの状況が続き、トライアンドエラーを数え切れないほど繰り返し、不安も少し抱えたまま迎えた性能試験だったので、無事クリアしたときは、苦労が報われた思いでしたね。

最後に、まだプロジェクトは続いていますが、今後の展望や想いをお話しいただけますか。

品川
2021年12月を持って無事に引き渡しは完了しましたが、プロジェクトはまだ進行中です。現在は、現地で問題なくオペレーションが行えるよう、操作やメンテナンス方法を運営メンバーに指導しています。大部分は自動化されていますが、外気温やごみの含水率などの諸条件によって調整しながらの運用が必要な箇所があるため、誰でも問題なく稼働し続けられるよう一からマニュアルを作成しています。国籍や知識レベルを問わず誰でもわかるマニュアルができれば、本プロジェクトだけでなく今後の海外案件に応用可能。このように、今後の財産となるような技術や知見を蓄積、共有することで当社の技術力向上につなげていければと思っています。
藤本
今回、設計と建設のどちらにも携わることができたため、自分が設計したもので建設時や運転時にうまくいかなかった箇所も自分の目で確認することができました。普段は設計するところまでを担当することが多いので、今回の経験はとても貴重でした。ここで得た学びを活かして、建設や運転まで見越して先回りした設計ができるようになりたいですね。また、引き渡しは終わりましたが、安定稼働を続けてこそ成功と言えます。本プロジェクトはアフターメンテナンスも担当領域ですから、引き続きサポートを続けながらプラントがライフサイクルを全うするまで見届けられたらうれしいですね。
嶋宮
今回痛感したのは、私たちの仕事は関係者全員が一丸となって初めて前に進められるということです。あたりまえのことですが、言語もなかなか通じない中で悪戦苦闘しながら密にコミュニケーションをとり続けたからこそ、その重要性を肌身で感じることができました。現在は便利なコミュニケーションツールも多く生まれ、オンライン会議やリモートワークなど働き方も変わり始めています。そんな中でも、関係者への感謝を忘れず、心を一つにしながら現場を進められるようなコミュニケーションを心掛けていきたいです。そんな姿勢が社内全体に広がっていけば、国境を超えて今以上に信頼を勝ち得る会社になれるはず。このプロジェクトや私が、そのきっかけになればこれ以上のことはないですね。